『止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記』を読みました

オウム事件については、タイムリーにニュースを見ていたこともあって、なぜあれほど大きな事件が起こったのか常に気になっていました。

そんな中、『止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記』が発売されたのを知って、読みました。

壮絶な半生を綴った自伝であり、また内側から見たオウムであり、家族から見た教祖の姿でありと、非常に興味深い内容が300ページにわたり書かれていて、一気に読んでしまいました。
その中でも、特に印象に残った事を書きたいと思います。

①壮絶な半生
教祖という絶対的な存在である父から庇護されていた11歳の娘が、突然社会とかかわりを持ち、国家や社会の憎悪の対象となった人生は、筆舌に尽くしがたく、ありのままの気持ちを生の言葉でつづった文章は、とても心に響きました

また、すぐ近くの娘から見た麻原彰晃の姿は、大教団を作り上げた事を納得させる、宗教者の姿であったことも非常に納得がいきました。

②社会の悪意
父が犯罪者だから、子供には人権は無いようにふるまう、社会・マスコミ・住民の姿には、怒りを覚えるばかりです。
無関係な子供に憎悪をぶつけるのは筋違いであり、そういった排他的で感情的な対応が、オウム事件の1つの要因なのだろうと思いました。

そんな中でも、困難に巻き込まれながらも立ち向かう弁護士、学校の教師、友人や仲間達が支えてくれる姿は、大きな救いを感じました
こういう「まともな大人」が社会には必要なのだと心から思いました。

③死刑囚たちの素顔
報道では死刑囚となった人々は、狂信的な信者で、社会常識から逸脱した血の通わない人間という印象があります。

しかし、実際に著者が知っている彼らは、みな当時から心優しく、思いやりがある人たちばかりです。
そういった人々がなぜ、このような事件を起こしたのかが、1つのこの事件からわれわれが得るべき教訓と思いました。

(少し違いますが、以前読んだ「メキシコ麻薬戦争」で、ヒットマンの仕事をしている青年も、礼儀正しい好青年で、生活と環境のためにしたかなくそいう仕事をしていることを思い出しました。)

また、死刑が確定しても、面会に来た著者に謝罪し、これからの生活を心から心配して親身にアドバイスを送り、事件を悔いる姿は、血の通った1人の人間であることを感じさせました。
学生の時に聞いた、死刑制度は、被害者遺族の感情もあるので、一概には言えませんが、こういった人間の心を取り戻し、反省し、贖罪の時間を奪ってしまうという問題点を、理解できました。


この本は、オウム事件を立体的に理解するのに非常に大きな意味を持つと思いました。
とても良い本でした。

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東京のソフト会社で、社内トレーニング他の間接業務をやってます。
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